ヴェンチャーエコシステムについて

私が、この事業を始めようと思い立った経緯の中に、日本経済の行き詰まり感があります。失われた10年(すでに20年近く)になりますが、戦後の高度経済成長から安定期の成熟経済に突入してから、どうしても日本人特有の保守的な志向から、ルーチンが多くなり、生産性の改善によるコストダウンが推進され、企業においても従前の製品サービスの踏襲をしながら細部の改良が多かったと思います。確かに製品の質の向上やサービスの向上は見られましたが、その分コストダウンと省力化によって過当競争に突入し、ほぼレッドオーシャンの市場のみという経済体制が構築されたように感じています。

先に成熟した米国はいち早く新しいスタンダードやイノヴェーションマネジメントに取り組み、第二の経済成長をしてきました。

その根底にあるのが、ヴェンチャーエコシステムではないかと私は考えています。もちろん、その国特有の製品やサービスを強化する、その世界的トッププレイヤー企業の活躍というののも重要ですが、やはり社会全体を見た時に多様性があり、新たな製品やサービスの興隆というのが、人類の経済活動には必要だと思います。

日本においてもヴェンチャー企業で成功して企業も多いですが、やはり米国と比べるとその数に圧倒的な差があります。特にヴェンチャーセグメントに流れ込む資金の大きさを見ても日本とアメリカとでは10倍以上差があります。

さらに、末端の草の根に回るエンジェル資金やエンジェル投資家の人数は200倍ぐらい違うといわれています。

そのために、日本において起業をしたいと思うアントレプレナーの数を増やすためには多様性をもてる草の根部分の活動が必要だと考えております。この考え方はサイトの中でも記述していますが、この考えをまた確信できる書籍に出会いました。

師事しているMBA教授から進められた書籍で、磯崎哲也氏の著書「起業のエクイティファイナンス」(ダイヤモンド社)です。

この中で述べられている一説に

『ベンチャーキャピタルだけでは「多様性」を増やすには限界があります。 米国でも、ベンチャーキャピタルの投資は、シリコンバレーやボストンなど一部の地域に大きく偏っていますし、業種もホットなものに集中する傾向があります。日本でもベンチャーキャピタルは、東京の渋谷にある将来上場しそうなネット系企業といったものには興味を持ちがちで、たとえば、「東京から遠く離れた地方都市に本社があって、漁船向けの特殊機器を作って将来の売上目標が4億円」といった企業にベンチャーキャピタルが興味を示すとは考えにくいです。

しかし、そうした多様な「すそ野」に資金供給がなされる土壌があってこそ、将来10兆円の時価総額になるようなベンチャーが生まれてくる可能性も高くなりますので、エンジェルの補完として、法人を大いに活用すべきではないかと思います。』

この書籍に勇気をもらいながら、事業を進めていきたいと思います。

起業エクイティファイナンス http://www.diamond.co.jp/book/9784478028254.html