カルロス・ゴーン氏のパネルディスカッション

本日、早稲田大学商学部主催で行われた、ルノーと日産CEOのカルロス・ゴーン氏と早稲田大学生とのパネルディスカッションイベントに参加してきました。
内容は人間力ということで、どちらかというと学部生に対する自己啓発や今後の社会に出るにあたってのアドバイス的な側面が大きかったように思えますが、その中で印象に残っている彼の発言が二つありました。

一つ目は「学生のどのようにしてリーダーシップを発揮して人々をインスパイアしてきたのか?」という学生からの質問に対する答えで、「人は人をインスパイアできない、困難やチャレンジといった事象が人々をインスパイアするのだ」これは、人がただ単に存在するだけでは、徳の高い人だろうが知識があるだろうが人にインスパイアやインスピレーションを与えることはない、困難やチャレンジという事象を経ることによってその人の徳や知識や能力が発揮されて、人々に影響を与える。面白い例としては、バラク・オバマ大統領が大統領になる前に世界の人々は彼に注目をしたりインスパイアされたりしたか?答えはNoである。大統領になって、「YES WE CAN」で国政を動かして初めて人々はそこから影響を受けたのであると述べていた。

二つ目は、日本人の特性という話題に触れて、「日本は人材しかない(ONLY HUMAN RESOURCE)」という発言でした。これは日本人がこれから変わらなきゃいけないかというような話の中で、今までもこれからも日本人は人材で立国してきたので、その流れは崩さずに、グローバリゼーションに対応できるようになってほしいと述べていました。天然資源や国土、農業などほかの資源(RESOURCE)が他の大国と比べて持たない、または劣っている日本がここまでの成長を遂げてきたおはひとえに強い人的資源(HUMAN RESOURCE)があったからとの説明でした。これは確かに日本の本質をついている発言だと思います。

二点とも今後の日本ビジネスを考えるに当たって、よい材料でした。特に人的資源については前回のブログでもアメリカ人の起業家が述べていた、日本は人材の宝庫である発言とリンクしていて、やはり真面目で勤勉、そして頑張りやという日本人のキャラクターはいまだに世界レベルで人材として通用するではないでしょうか。ただし、組織による統制に従順すぎる面や、周りを気にして消極的になりやすいところは構造として問題であるし、社会構造の変化から以前のような質の人材が豊富に供給できるかは疑問が残る点である。これらを克服しながら、新しい産業やイノベーションに強い人的資源を向かわせることが日本経済再浮上のキーであるし、今後ビジネスでの成功を収めるための必須ポイントであるでしょう。

まずは、リスクテイクによる失敗の許容を寛大にしていくところと、チャンスを多く提供してくことがやはり必要でしょう。責任感が強いことは強みでもあるし、その反面失敗したときの反動は弱みにもなる。ただ、安易に失敗を許容してしまうと安きに流れてしまうかのうせいもあり、そのバランスを取りながら進めていくのが難しいところですね。